現代のIT環境では、ネットワークの理解は欠かせません。この記事では、ネットワークの基本的な仕組みを解説します。
ネットワークとは
ネットワークとは、複数のコンピュータや機器を接続し、データをやり取りできるようにした仕組みのことです。
工場では、多くの機械や設備、コンピュータが稼働しています。それぞれの機械が独立して動いているだけでは、効率的な生産管理や情報共有はできません。そこでネットワークを使って機器同士をつなぎ、情報をやり取りできるようにします。
工場でのネットワークの具体例
・生産ラインのリアルタイム監視
稼働状態・生産数・計測値などを設備から自動で取得し、管理者が離れた場所からでもライン状況を確認できる。
・PLC同士の通信による製造装置の連携
前後工程の装置が信号をやり取りし、加工完了や停止指示を共有することでライン全体が一体となって動作する。
・上位システムとの連携
上位システムから生産計画を受信し、設備から回収した生産実績を送信することで工場全体のデータを統合できる。
・品質記録の自動化
計測機器から測定データを自動で取得し、記録漏れ防止やトレーサビリティ確保を実現できる。
工場におけるネットワークは、単にパソコン同士をつなぐだけでなく、機械や設備、センサーなど「情報を持つすべての装置」をつなぐインフラです。
これにより、リアルタイム監視や自動化が可能になり、効率化・品質向上・トレーサビリティの実現につながります。
ネットワーク通信の仕組み
ここではネットワーク通信の仕組みについて要素ごとに解説します。
通信プロトコルとは
通信プロトコルとは、コンピュータ同士が互いにデータを正しくやり取りするためにあらかじめ決められた「約束事」や「手順」のことを指します。
人間同士が共通の言語を使わなければ意思疎通ができないのと同じように、コンピュータやソフトウェアも共通のルールに従って通信を行う必要があります。
私たちが日常生活でインターネットを利用する中では意識していませんが、電子メール、Webサイト、Web会議などの通信は、複数のプロトコルが組み合わさって成り立っています。
代表的な通信プロトコルをご紹介します。
| プロトコル | 名称 | 概要 |
| IP | Internet Protocol | データをパケット化し、IPアドレスを元に配送するためのプロトコル。 |
| TCP | Transmission Control Protocol | 確実で信頼性の高いデータ転送を行うためのプロトコル。 |
| UDP | User Datagram Protocol | 高速でリアルタイムなデータ転送を行うためのプロトコル。 |
| HTTP | HyperText Transfer Protocol | WebサーバーとWebブラウザ間で情報をやり取りするためのプロトコル。 |
| HTTPS | HTTP Secure | HTTPを暗号化して安全なWeb通信を行うためのプロトコル。 |
| FTP | File Transfer Protocol | ネットワーク上でファイルを転送するためのプロトコル。 |
| SFTP | SSH File Transfer Protocol | 暗号化された安全なファイルを転送するためのプロトコル。 |
| SMTP | Simple Mail Transfer Protocol | 電子メールを送信するためのプロトコル。 |
| POP3 | Post Office Protocol 3 | メールサーバーからメールを端末にダウンロードして受信するためのプロトコル。 |
| IMAP | Internet Message Access Protocol | メールサーバー上でメールを管理・閲覧しながら受信するためのプロトコル。 |
IPアドレスとは
IPアドレスとは、ネットワークに接続されたコンピューターを識別するための「ネットワーク上の住所」です。
郵便物を特定の家に届けるために住所が必要なように、ネットワーク上でデータを送受信するために欠かせない識別番号です。
IPアドレス(IPv4)は、32ビットの数値であらわされ、0から255までの4つの数字をピリオドで区切って表記されます。

また、IPアドレスはただの4つの数字の羅列ではなく、「ネットワーク部」と「ホスト部」の2つの内容で構成されています。
| ネットワーク部 | どのネットワーク(例えば「会社Aのネットワーク」や「自宅のネットワーク」)に所属しているかを示す部分です。 |
| ホスト部 | そのネットワークの中で、個々のどの機器(PC、サーバー、スマートフォンなど)であるかを特定するための部分です。 |
IPアドレスのどこまでが「ネットワーク部」で、どこからが「ホスト部」なのかを区別するための識別子が「サブネットマスク」です。
サブネットマスクもIPアドレスと同様に「255.255.255.0」のような形式で表現されます。
サブネットマスクをIPアドレスとビット単位で比較することで、コンピューターはネットワーク部とホスト部を判断します。

IPアドレスは、使用される範囲や割り当てに方によって、主に以下の2つの分類があります。
1. 使用範囲による分類
| グローバルIPアドレス | インターネット全体で通用する、世界で唯一の住所です。インターネットに直接接続するルーターなどに割り当てられ、世界中からアクセスが可能です。 |
| プライベートIPアドレス | 家庭や会社などの閉じたネットワーク(LAN)内でのみ通用する住所です。そのネットワーク内で機器を識別するために使われます。インターネットの外からは直接アクセスできません。 |
2. 割り当てられ方による分類
| 動的IPアドレス | 接続するたびや一定時間ごとにIPアドレスが自動で変わる形式です。一般家庭のインターネット接続で広く使われています。 |
| 固定IPアドレス | 常に同じIPアドレスを使い続ける形式です。サーバー運営や、特定のIPアドレスからのみアクセスを許可するリモートワーク環境などで利用されます。 |
TCP/IPとは
TCP/IP(ティーシーピー・アイピー)とは、インターネットや社内ネットワークで実際にデータをやり取りするためのプロトコルの集まりで、機能ごとに4つの階層に分類したモデルです。
私たちがWebサイトを閲覧したり、メールを送受信したりする際、裏ではTCP/IPがデータを正しく送る役割を担っています。
TCP/IPは以下の構造をしています。

まとめ
今回は、ネットワークの基礎についてご説明いたしました。
システム構築をする際には、ネットワークの知識は欠かせません。ネットワークを理解する第一歩として役立てていただければ幸いです。
次章では、IPアドレスの設定方法や、PING通信による疎通確認をご説明いたします。
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