シーケンス制御を実現するためにPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)と呼ばれる専用の制御装置が広く使われています。PLCは内部にプログラムを書き込んで使う産業用の制御コンピュータです。
内部に書き込むプログラムは、ラダー図(梯子状の回路図)を記述することが多く、電気回路の知識があれば直感的に理解しやすくなっています。
今回は、シーケンス制御をラダープログラムでどのように行うのかをご紹介します。
シーケンス制御はどのようにして実現するのか?
PLCには、入力や出力の信号を受け取る端子台があります。入力側にスイッチやリレーなどの条件・指令を行う機器を、出力側にはランプや電磁接触器などの駆動負荷の機器を配線します。

受け取った入力をPLCの演算部と記憶部で処理をして出力します。処理を行うためには内部に専用のプログラムをパソコンから書き込む必要があります。
このPLCに書き込む専用のプログラムがラダープログラムになります。ラダープログラムは、梯子状の回路図のように記述することから、ラダー図とも呼ばれます。

PLCが入力信号を受け取ると、ラダープログラムの入力リレー(X00、X01、X02)がON/OFFします。
例えば、押しボタンスイッチを押すと、入力端子のX00がON(COMと入力端子が導通)になり、ラダープログラムのX00がONします。押しているのを離すと、入力端子のX00がOFF(導通が解放)になり、ラダープログラムのX00がOFFします。
PLCのラダープログラムの出力リレーをONすると、信号が端子から出力されます。OFFにすると、信号が出力されなくなります。
例えば、ラダープログラムのY10をONにすると、出力端子のY10がON(COMと入力端子が導通)になり、ランプが点灯します。Y10をOFFにすると、出力端子のY10がOFF(導通が解放)され、ランプが消灯します。
それでは、詳しくラダープログラムを見ていきます。
ラダープログラムの考え方
電気回路とラダープログラムを対比して解説します。
電気回路は押しボタンスイッチを押すとランプが点灯し、離すとランプが消灯します。
この電気回路をラダープログラムで表すと次のようになります。


押しボタンスイッチを押すと、入力リレー「X00」がONになります。入力リレー「X00」と出力リレー「Y10」が横線で直接接続されているので、出力リレー「Y10」がONになり、ランプが点灯します。
つまり、電気回路もラダープログラムも押しボタンスイッチを押している間、ランプが点灯します。
「X00」や「Y10」はデバイスと呼ばれます。XやYはデバイス記号で、00や10の数字はデバイス番号です。デバイスの記号と番号で、1つ1つのデバイスを区別して使用します。デバイス記号で入力リレーや出力リレーなどのデバイスの役割を表し、デバイス番号は固有のアドレスを表します。
主要なデバイス
入力リレー:X00 ~
スイッチなどの外部から信号を受け取るデバイスで、デバイス記号はXも用います。
出力リレー:Y00 ~
外部の負荷を駆動するデバイスで、デバイス記号はYを用います。
補助リレー:M0 ~
PLCが内部に持っている補助的なリレーで、デバイス記号はMを用います。
内部リレーともいいます。
タイマ:T0 ~
PLCが内部に持っているタイマで、デバイス記号はTを用います。
カウンタ:C0 ~
PLCが内部に持っているカウンタで、デバイス記号はCを用います。
デバイス記号は、メーカーによって異なります。また、デバイスの使用できる数は、PLCの機種により異なります。
ラダープログラムの例
次のラダープログラムはどのような動作をするか考えてみてください。
X00:押しボタンスイッチの入力信号
X01:リミットスイッチの入力信号
X02:切り替えスイッチの入力信号
Y10:ランプ
Y11:電磁接触器
Y12:電磁弁

1.押しボタンスイッチ(X00)を押した場合
押しボタンスイッチ(X00)を押した場合、ランプ(Y10)が点灯します。
T0のb接点がONしていない事が条件です。
また、押したあとランプ(Y10)が点灯し続けます。これは、X00の下にY10があるため、自己保持回路になっているためです。
2.リミットスイッチ(X01)が押された場合
リミットスイッチ(X01)が押された場合、タイマ(T0)の時間が加算されます。加算が100(この場合10秒経過)するとタイマ(T0)がONになります。
タイマ(T0)がONになると、上のT0のb接点がOFFになるため、ランプ(Y10)が消灯します。
Y10が自己保持回路で、ONになっている場合です
タイマには、低速タイマ(+1の加算が100秒)と高速タイマ(+1の加算が10秒)があります。
3.切り替えスイッチ(X02)を切り替えた場合
切り替えスイッチ(X02)をOFFからONに切り替えた場合、補助リレー(M10)がONになります。次に補助リレー(M10)がONになると、電磁弁(Y12)がONになります。
切り替えスイッチ(X02)をONからOFFに切り替えた場合、補助リレー(M10)がOFFになります。次に補助リレー(M10)がOFFになると、電磁弁(Y12)がOFFになります。
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